病気を予防しよう!オーソモレキュラー栄養療法とは

歯科衛生士の菅谷です。
今回は栄養カウンセラーの立場から、みなさんにオーソモレキュラー栄養療法についてお話します。

オーソモレキュラー??
なんだか舌を噛みそうなことばですが、これは造語だそうです。
従来の栄養学とは違った考えを持つ、アメリカの化学者、ライナス・ポーリング博士、カナダの精神科医、エイブラム・ホッファー博士らによって、1960年代より受け継がれてきました。
 
従来の栄養学は、「欠乏症でなければ正常である」という考え方。
貧血でなければ鉄は足りているという考え方です。
それに対してオーソモレキュラー療法は、「潜在性の欠乏状態がある」という考え方。
病気が出る前に欠乏状態を知るという考え方です。
昔は、感染や病気になる「物質」があると思われており、欠乏しているとは考えなかったとのことです。
 
またこの栄養療法では、潜在性の欠乏状態を改善することで、減薬も期待できるとしています。
薬は対症療法
栄養は根本療法
とし、欠乏している栄養素を取り入れることで、薬のいらない、細胞から回復できるからだを造る。
医療費の節約にもなりますね。
 

私たちのからだは、全て食べたものでできています。
脳、血液、内臓、骨、筋肉、これらを構成する細胞は、20歳あたりで60兆個あるといわれています。
これが、老化によって細胞の衰え、病気によって細胞の故障、炎症によって細胞が壊れるなどで、60兆個あった細胞は減少の一途を辿ります。  

私たちの皮膚も骨も、ターンオーバーという細胞の生まれ変わりの周期で、こわされたりつくられたりしています。
こわされる>つくられる この状態では病気の発症や老化が進むことになります。
こわされる=つくられる この状態で健康を維持することができます。

そして、「こわされる=つくられる」の維持には栄養が必要です。

では、オーソモレキュラー栄養療法の考え方から、どのような栄養素がどのように必要なのか、5大栄養素でお話していきます。  

①タンパク質
タンパク質は、からだの土台となると同時に、からだの至るところでタンパク質を必要としています。
筋肉、骨、歯、内臓諸器官、血液、ホルモン、酵素、そして皮膚や毛髪等、全てタンパク質でできており、生命現象の中心的役割を果たします。
プロテインはギリシャ語では、「第一の物質」の意味を表すとのことです。  
体重の55〜65%は水分であり、残りの35〜45%中の7〜8割はタンパク質です。
からだのあらゆる構造物はタンパク質でできていますが、タンパク質は脂肪のように、体内にためることができません。
タンパク質が足りなくなると、からだは筋肉を壊してタンパク質の代わりにします。
このことから、毎回の食事に、必要量をしっかり摂ることが大切です。  

私たちの「心」を造るもとになるのもタンパク質です。
私たちが感じる、`うれしい’や`悲しい’の気持ち、またヤル気や判断力のもととなるのも、タンパク質が材料になっています。
脳内の神経伝達物質のやり取りが、頭の中でバランス良く行われることで、毎日爽やかに過ごせるのですが、この神経伝達物質がタンパク質でできているので、心穏やかでいるためにもタンパク質の摂取は重要です。  

②脂質
脂質はからだに蓄えられ、必要に応じて分解され、エネルギーになります。
エネルギー源として体温の調節や、働く力となり、少量の脂質で多くのエネルギーを得ることができます。
またホルモンの材料になったり、細胞膜や脳神経組織をつくる材料になります。  
脂質の主成分は脂肪酸です。
脂肪酸には、良い脂肪酸と悪い脂肪酸があるので、食べ物の成分には注意して摂る必要があります。

まず摂らないほうがいいといわれるのが、トランス脂肪酸。
これには、老化やがん、心臓病へのリスクが 指摘されています。
トランス脂肪酸は、マーガリン、お菓子やパンに使われているショートニング、アイスクリームやポテトチップスなどの加工食品に多く含まれています。  
減らしたほうがいい脂肪酸は、揚げ物や炒め物によく使われる、コーン油、ベニバナ油、大豆油などの植物系の油です。 オメガ6(リノール酸)と呼ばれる脂肪酸で、これは悪玉ではないのですが、あらゆる食品に使われており、摂りすぎているのが問題です。  

そして積極的に摂りたいのが、オメガ3と呼ばれる脂肪酸で、これは背の青い魚に含まれるEPA・DHA、シソ油やアマニ油に含まれるα-リノレン酸などです。
オメガ6とオメガ3、この2つのバランスがとれていることが、細胞の機能を高めるうえで大切ですが、一般的な食生活では大きくオメガ6の摂取過多になっています。
オメガ3を意識的に摂り、オメガ6を減らす工夫が必要です。  

③炭水化物
炭水化物の構成成分は、糖質と食物繊維です。
糖質は、私たちのからだのエネルギー源のひとつです。
体温の維持、筋肉を動かす原動力といった、重要な役割を担っています。
糖質は私たちが摂取するエネルギーの60%を締めており、脳のエネルギー源ももちろん糖質です。  
ただ、脳のエネルギー源になっているのは、砂糖ではなく、血液中のブドウ糖であり、「砂糖=脳のエネルギー」ではありません。
脳をいい状態で働かせるためには、甘いものを摂るのではなく、血液中のブドウ糖、つまり血糖の数値を一定にキープすることが大切なのです。
また、「糖質=甘いもの」ではなく、ごはんやパンなど、主食になる炭水化物も糖質です。
ごはんやパンなどの糖質は、タンパク質や脂質に比べて吸収が早く、短時間で血糖値を上げます。
急激に上がった血糖値は急激に下がるので、脳の大きなストレスになります。
糖質を摂る場合は、空腹時に糖質のみの単体摂取は避け、まずはタンパク質や脂質、食物繊維などのおかずを食べて、その後に少量の糖質を摂ると良いとされています。

食物繊維は、「ヒトの消化酵素で分解されない、食物中の難消化性成分の総称」とされ、水に溶ける水溶性と、溶けない不溶性とに分けられます。  
水溶性食物繊維は、昆布、わかめ、大麦などに多く含まれ、食べ物をゆっくり吸収させるため、糖の吸収を緩やかにし、食後血糖値の急激な上昇を防ぎます。  

不溶性食物繊維は、野菜、豆類、キノコ類などに多く含まれ、便をやわらかくしてカサを増すことにより、腸のぜん動運動を活発にし、便が体内に留まる時間を短くします。  
食物繊維は、栄養そのものではありませんが、腸内の有用菌群を増やし、腸内環境を改善することに役立ちます。

④ビタミン
ビタミンは、エネルギー源やからだをつくる成分ではありませんが、人が健全に成長し、健康を維持する働きをします。
つまりビタミンは、他の栄養素がうまく働くために、機械の潤滑油のように働いています。
ビタミンは、動物・植物中に存在しており、人の体内では合成できず、またできていても必要量に満たないといわれています。
ですので、食物からの摂取が不可欠です。   ビタミンの種類は、水に溶ける水溶性ビタミンと、あぶらに溶ける脂溶性ビタミンとに分けられます。
水溶性ビタミンには、ビタミンB群とビタミンCがあり、保存の方法や調理によって壊れやすい性質があります。 ビタミンB群は、エネルギー代謝やエネルギー産生に携わったり、神経症状を防ぐ働きがあります。
またビタミンCは、コラーゲンをつくったり、からだのサビ取り(抗酸化)に働いてくれています。
  脂溶性ビタミンには、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあり、あぶらと一緒に摂取すると吸収が良くなります。
働きは、粘膜・細胞膜の保護、免疫力の向上などがあります。  

⑤ミネラル
ミネラルは、生体の殆ど全ての機能に密接に関わりあっている重要な栄養素として、その過不足は生体に大きな影響を与えます。
ミネラルも体内で合成できないため、食物から摂る必要があります。  
不足しがちなミネラルとして、鉄の不足が挙げられます。
女性の場合、毎月月経で血液が失われてしまうため、貧血へとつながります。 また鉄は、脳内の神経伝達物質をつくる過程で、欠かすことのできないミネラルです。
不足すると脳の安定が得られず、うつ症状などが出てくることが知られています。  
カルシウムは、骨や歯の形成に役立ちますが、カルシウムもまた神経細胞から神経伝達物質が出るきっかけをつくってくれるので、「心」にも効いてくるミネラルです。  
亜鉛は、酸素の働きに関与し、活性の中心の役割をします。
細胞分裂を正常に行う役割から、皮膚を守ったり、けがややけどの回復を促します。 亜鉛はインスリンの分泌を調整する働きがあるため、糖質が多いとされる加工食品を多く摂取する人は、亜鉛の不足か起きやすいとされています。

前述したように、細胞が「こわされる=つくられる」をキープできれば、健康を維持することができます。
からだの土台となるタンパク質を、毎日必要量摂取し、あぶらは良質なものを選び、糖質は控えめに。

当院では、76項目の血液検査を行っております。
問診票の記入と採血後、血液検査を元に診断結果をお伝えします。
また、内科医によるセカンドオピニオンによるサプリメントレポートを元に栄養相談とお食事の指導をさせていただいております。
栄養を整えて、いつまでも元気でいられるように、みなさんの健康を応援しています。
お気軽にお問い合わせください。

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