歯科治療の前提条件!拡大視野

28CliniC南青山 副院長の柳です。 

今回は私たちの考える「歯科治療のお作法」についてお話しさせていただきます。

日本には古来から伝わる数多の美しい作法があり、現代も私たちの心に強く根付いています。
茶道、武道、その他諸々の芸事だけではなく、日々行うお辞儀、時柄の挨拶などを見てもたくさんの作法があり、それらは子供から大人まで年齢を問わず共通の認識として捉えられています。
それは人や物事そのものを大切に思う気持ち、敬う気持ち、相手を不快にさせず、互いを尊重し合うための一種の決め事のようなものです。

28CliniCに勤務する歯科医師・衛生士全員が、患者の皆様のお口を拝見するにあたり決め事としている作法は、必ず「拡大視野」を用いることです。

歯科医院で治療を行う際、術者は主に以下の3パターンのどれかで患者の皆様のお口を確認していることと思います。

  1. 裸眼or拡大機能のないゴーグルなどを用いて診察
  2. 拡大鏡+専用ライトを用いて診察
  3. 手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて診察

当院では、患者の皆様のお口を 1.裸眼またはゴーグル で診察することは基本的にありません。
必ず、拡大視野で口腔内を精査し処置することを義務付けています。

1、2、3ではどれくらい見え方が違うと思いますか?

こちらの図はsurgitel.comよりお借りしております。

まず左のActual Sizeが 1.裸眼orゴーグル の視野です。

当院Drは米国Surgitel社製 拡大鏡を使用しています。倍率は8倍か10倍です。
冒頭の私の写真は10倍のサージテルです。
スポーツ用サングラスと共に使用することで安定感を維持しています(結構重い)。

当院の衛生士は主にイタリアUNIVET社製 拡大鏡を使用しています。
倍率は個人で異なりますが、4.5倍~6.5倍位で各々が使いやすい物をオーダーしています。
さらに高倍率の拡大鏡を使用して精密な歯周病治療を行う衛生士もおります。

拡大鏡は専用のライトと一緒に使用します。拡大すると視野は狭くなります。よって足りない光量をライトで補わないと、暗くてよく見えません。質の良いライトを併用していることも重要なポイントです。

そして一人一人の目幅(焦点間距離)や作業長(快適に作業できるポジションでの、目から術野までの距離は異なりますので貸し借りすることなく、全員が自分専用の拡大鏡を使用しています。

10倍でもかなり大きく見えますが、もっとよく見たい時もあります。

  • 深い虫歯の処置の際に歯の中の神経と血管、血流の状態を確認するとき
  • 歯にヒビが入ってないかを精査するとき
  • 根の中の治療(根管治療)のとき
  • 歯肉の毛細血管を見たいとき
  • 根の周りのセメント質を確認したいとき

などなど。

そんな時は3.手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用します。
当院ではカールツァイス社製 Microscope EXTARO 300を使用しています。
最大倍率は20倍以上です。
当院では様々な治療でこのマイクロスコープを使用しています。

みなさん、どの視野でご自身のお口や歯をチェックされたいですか?


28CliniCは「予防型医療」に特化しています。
治療を行うと同時に同部位の再発を防止することはもちろんのこと、その治療が、新たに起こる可能性のある別部位の歯科疾患の予防にも繋がるよう、診査診断、加療を行うことを基本としています。

一本一本の木(歯)を見ることはもちろんのこと、正しく森(口腔全体、噛み合わせなど)全体を俯瞰した上での診査診断が必要となります。

今のお口はどのように作られたのか。
何が原因で今のお口の状態に陥ってしまったのか。

それを本当に正しく把握するためには、1本1本の歯の状況と、歯の周りの歯茎の状態を正しく確実に精査する必要があります。

治療を行う前に、まず治療を行うことができる口腔内環境が整っているかどうかを必ず確認します。
もちろん、強いお痛みがあったり、緊急を要する場合はすぐに処置を開始することもあります。
しかし基本はお口の中の細菌が減少していること、歯茎が健康状態にあることを確認するまでは治療を行いません。

私たちは拡大鏡を必ず用いて確認を行います。


28CliniCはお口全体のバランスや噛み合わせを整える「全顎治療」を患者の皆様に提供させていただいております。
お口の中がガラッと変わる治療です。
人生変わったと仰ってくださる方もいらっしゃいます。
大袈裟?と思われがちですが、確かに術前術後の写真を比較すると、治療期間、時が経過しているにもかかわらず10歳以上顔貌が若返ったようにお見受けできることはよくあります。
嬉しい限りです。

何をお伝えしたかったかと申しますと、それくらい変化してしまう可能性のある治療だという事実です。
だからこそ、私たち歯科医師はその診査診断、加療を責任を持って行う必要があると考えています。

もちろん人工物を用いる以上材料としての限界はありますし、治療開始前からすでに大きなダメージを受けている歯に関しては後に追加の処置が必要なことはあります。

よってメインテナンスにて定期的に検診を行うことで、最小の加療で残りの人生を快適にお過ごしいただける治療計画を設計しています。

一度自分が治療したところは二度と治療させない。
それが基本です。
その覚悟で治療を行う以上、絶対に拡大視野は必要です。

私たちが日々行う治療の多くは「再治療」です。

一度治療されている歯のトラブル(虫歯、根の中の感染など)を解消するための治療です。歯は治療を繰り返すたびに、どんどん歯質が減少します。
1本の歯が受ける治療の回数は基本的に少ない方がベターとお考えください。

もし拡大鏡が壊れちゃったら?誠に勝手ながらその日は診察を中止に……となっては困りますので、私はスペアとして2台用意して各院に設置しています。

1日の診療のうち裸眼での診察は唯一、全体のバランスや審美、顔貌を確認するときだけです。

ずっと拡大鏡を使ってると、拡大鏡の重さで鼻の横にアザができます。長時間しっかり拡大鏡を使用している証拠としてご査収ください。笑

最後にもう一度。

28CliniCに勤務する歯科医師・衛生士は全員必ず「拡大視野」を用いて診療に従事します。

それがお越しいただく患者の皆様へ誠意ある治療を行うための、28CliniCの「作法」なのです。

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